自己破産の手続きを考えている方の多くが、「家族にバレたらどうしよう」「職場に知られたら仕事に影響するかも…」といった不安を抱えています。
金銭的な問題を解決したいと思っても、「周囲に知られるリスク」が気になって、なかなか踏み出せない方も少なくありません。
結論から言えば、自己破産が家族や職場に知られる可能性はゼロではありません。しかし、正しい知識と適切な対応を知っておくことで、そのリスクを最小限に抑えることができます。
この記事では、自己破産がどのような経路でバレる可能性があるのか、そして家族や職場にバレずに手続きを進めるための方法や注意点を、法律の専門家がわかりやすく解説します。
「なるべく誰にも知られずに借金問題を解決したい」
そんなあなたの不安に寄り添いながら、一つひとつ丁寧にお伝えしていきます。
「自己破産をしたら家族にバレるのでは?」「会社に知られてクビになったらどうしよう…」
そんな不安から、なかなか一歩を踏み出せずにいる方も少なくありません。
どのようなことがきっかけで、家族や勤務先にバレるのか、上記のような不安を弁護士目線で解説します。
結論から言えば、自己破産が家族や職場にバレる可能性は「ゼロではないが、バレるリスクを下げることは可能」です。
バレる主な原因としては、以下のようなケースが考えられます。
自己破産の手続き中にバレやすいのは、以下のような身近な人たちです。
同居家族のように生活が密な関係にある、保証人や共有財産を有する等資産関係が密な関係にあるなど、一定の密な関係にある人には、自己破産手続を弁護士に依頼していることがバレる可能性が高いです。
また、自己破産手続を弁護士に依頼したことがバレたのではなく、多額の借金の存在の発覚がきっかけとなって、自己破産手続を弁護士に依頼したことがバレたという方も少なくありません。
多額の借金の存在や自己破産手続きを弁護士に依頼したことが「バレる原因」を8に分類してお伝えします。
借金をしていることを家族に秘密にしている方は多く、家族等同居者にばれる一番の原因は、債権者からの督促書類です。
督促書類は封筒に「重要」等の文言、「黄色」や「赤色」の封筒等一般的な封筒とは異なる封筒を用いたり、債権者が弁護士に債権回収を依頼するため弁護士からの請求となる等、一見して借金をしていることが分かる外観になっているため、家族に借金の存在がばれたという方は多いです。
弁護士が介入通知を送付すると債権者からの直接の連絡はなくなり、督促書類は届かなくなりますが、介入通知を送付してから債権者側が連絡の停止手続きを行うまでにタイムラグが生じます。そのため、弁護士に依頼する前に既に督促状態又は督促直前の状態にある場合には、弁護士が介入しても、上記のような督促書類が自宅に1回程度届くことがあります。
また、債権者が貸金に関する訴訟を提起した場合には、裁判所からの郵便物は弁護士宛ではなく、債務者宛に直接届きます。裁判所からの書類がきっかけで、家族に借金の存在がばれたという方も少なくありません。
弁護士が介入通知を送付すると債権者からの直接の連絡はなくなり、原則として、介入直後に訴訟を提起されることはありません。もっとも、弁護士介入前から不払い状態が続き債権者が訴訟提起済み又は直前であった場合、弁護士に依頼後長期に破産申立等手続き進まなかった場合等には、弁護士が介入をしていても、債権者から訴訟を提起される可能性があります。
弁護士からの電話連絡等が原因で家族に知られてしまうケースもあります。
たとえば、携帯電話に出なかった場合に自宅に連絡が入り、対応した家族に「〇〇法律事務所の者です」と名乗ってしまうと、そこで借金の存在や破産申立事件等を弁護士に依頼していることが発覚する可能性があります。
また、郵送書類に弁護士名や弁護士事務所名が記載されていることから、それを発見した家族に、借金の存在や破産申立事件等を弁護士に依頼していることが発覚する可能性があります。
なお、破産手続を行った場合には破産手続開始決定書類、免責許可決定書類等の裁判所からの郵送物は、東京地方裁判所では、破産者ご本人宛ではなく、申立代理人である弁護士宛に届きます。
破産申立に限らず、弁護士に債務整理を依頼し、介入をすると、介入後のカード利用はできなくなります。
弁護士に破産申立・個人再生申立を依頼場合は、全債権者を対象とするめ、全てのカードの利用ができなくなります。
そのため、これまでカードを利用して支払をしていた電気代、ガス代、水道代、携帯電話代等の費用をカードで支払うことはできなくなります。また、家族カードを家族が利用していた場合には、その家族カードも利用できなくなります。
任意整理の場合には、ご事情がある場合に一部の債権者を任意整理の対象から除外をする場合はありますが、カード会社によってはカードの更新ができない場合があります。
このように、今までカードを利用した生活をしていた場合には、カードが利用できなくなったことをきっかけに、借金の存在や破産申立事件等を弁護士に依頼していることがばれる方は少なくありません。
東京地方裁判所における自己破産では、車や不動産など原則として20万円以上の財産を換価処分の対象とするため、それが破産者名義であれば処分の対象になります。また、保険契約についても解約返礼金が20万円以上ある場合等、保険契約を解約しなければいけないケースもあります。
破産者名義のみではなく、共有名義になっている場合は、共有者の持分を処分するわけではないですが、破産者の持分を処分するため、通常、破産管財人から共有者に連絡を行うことになります。
典型的には、配偶者や両親と共有名義の不動産になりますが、両親の被相続人名義の不動産につき、他の相続人名義に登記名義を変更していない(手続未了)場合には、その相続不動産持分も破産手続上の換価資産になります。
これまで保有していた財産を処分したり、破産者の財産処分のため共有者に連絡せざるをえないため、借金の存在や破産申立事件等を弁護士に依頼していることがばれる方は少なくありません。
親族・友人が保証人の場合には、債権者に対して弁護士から受任通知を送付すると、債権者から保証人に対して請求がいくことになります。
そのため、保証人がいる場合には、債権者から保証人へ請求をきっかけとして、借金の存在や破産申立事件等を弁護士に依頼していることがばれることになります。
東京地方裁判所における破産申立の場合、原則として他者名義の資料は求められませんが、水道代、ガス代、電気代、家賃等の支払方法の確認のために、同居人口座から引き落としになっている場合には、その口座の確認のために口座提出を求められたりすることがあります。また、世帯の家計状況を確認するために、配偶者等同一世帯の給与明細を求められる場合等もあります。
破産手続において資料提出に応じるため、破産申立事件等を弁護士に依頼していることがばれる可能性はあります。
自己破産をすると、「官報」という国の公的な情報誌に氏名・住所などが掲載されます。
これはすべての破産者に適用されるもので、拒否することはできません。
ただし、官報を日常的に読んでいる人は非常に少なく、家族や職場の人が偶然それを見てバレるケースはまれです。
ただし、貸金業者や探偵、金融関係者などは官報をチェックしていることもあるため、絶対に安心とは言い切れません。
自己破産等をしても、会社に通知が行くことは基本的にありません。
給与の振込先口座と同じ金融機関から借入がある場合、同金融金に対して介入通知を送付することになります。介入通知を送付してから一定期間は口座が凍結されるため、給与振込先口座の利用ができなくなります。そのため、この場合には、給与振込先口座の変更が必要であり、勤務先によっては、変更の理由を事実上、説明せざるをえなくなります。
破産手続上、20万円以上の資産は換価対象になりますが、退職金もその対象になります。破産者に一定以上の勤務年数がある場合には、破産手続上、勤務先から退職金額又は退職金がないことを記載した資料の提出を求められます。勤務先に資料を提供してもらうために、事実上その理由を説明せざるをえなくなることがあります。その他、給与明細から毎月会社に積立金があるような場合には、現在の積立金額に関する資料を求められることがあります。会社の経費を立て替えている場合には、その立替金費用を請求する権利も、同様です。破産者が会社に対して資産を有する可能性が有る場合、資産額を確認するための資料を勤務先に求めることになるため、事実上その理由を説明せざるをえなくなることがあります。
また、会社に給与の前借りをしている等、会社に債務があることになり、会社も債権者として、破産手続きの対象債権者に含める必要はあります。この場合には、勤務先に破産申立予定であることを説明せざるをえません。
会社の事業によっては、破産手続上資格制限を受ける資格を前提にした事業を行っていることがあります。破産手続上、破産者は資格制限を受けるため、破産者は資格を前提にした業務はできないため、勤務先に破産申立予定であることを説明せざるをえなくなります。
「家族に迷惑をかけたくない」「子どもには知られたくない」
そんな理由から、自己破産の手続きを誰にも知られずに進めたいと考える方も多くいらっしゃいます。
実際、自己破産は一定の配慮をすることで“バレずに進められる可能性”もあるものです。
ただし、完全にリスクゼロとは言い切れず、注意すべきポイントもいくつか存在します。
この章では、家族にバレずに自己破産を進めるために知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。
結論!条件次第では自己破産を家族に内緒で進めることは可能です。
先ほど確認したバレる原因①は、早期に弁護士に依頼し、早期に手続を進めることで、多くは回避できます。自己の収入のみでは、返済ができない状態が予想できる場合には、早期に弁護士に相談、依頼することで、①を原因とするリスクは大きく抑制できます。
同じく先ほど確認したバレる原因②は、郵送物の送付方法や電話対応の仕方についても、家族に配慮しする対応をすることで、多くは回避できます。例えば、封筒に「法律事務所」の記載をしないよう依頼したり、電話連絡を本人の携帯のみに限定するなどの対応ができます。また、書類について、郵送ではなく、事務所で交付する対応等も行っています。上記のような個別対応可能な弁護士に依頼するこで、②を原因とするリスクは大きく抑制できます。
バレる原因③、④、⑥は、以下のような条件がそろっていれば、バレるリスクは大きく抑えられます。
結論!同居しているかどうかで“バレるリスク”は大きく異なります。
そのため、同居している人ほど「家族にどう説明するか」または「どう配慮するか」が重要になります。
心配な方は、早い段階で弁護士に相談して、段階的に準備をして、「バレにくい手続き方法」を検討しましょう。
未成年の子どもがいる場合でも、自己破産をしたからといって法的不利益が直接子どもに及ぶことは基本的にありません。
たとえば:
ただし、破産に限らず債務整理を行った場合には、相当期間経過しなければ破産者を借主や保証人とする奨学金の借入ができなくなる可能性が高いです。
また、子どもが書類や郵便物を見て不安になることもあるため、年齢や理解度に応じて簡単な説明をするほうが良いケースもあります。
「今後の生活を立て直すための前向きな手続きである」という伝え方をすれば、不必要な不安を与えることなく対応できます。
「家族や職場に知られずに自己破産の手続きを進めたい」——。
弁護士に自己破産の手続きを依頼することで、バレるリスクを大幅に抑えることができます。
その理由は以下の通りです:
→弁護士介入後は、金融機関等の債権者からの連絡は原則として停止します。
そのため、弁護士が早期に介入することで、債権者からの督促書類等を家族が発見することでバレるリスクは、大きく減らすことができます。
→「家族に知られたくない」と最初に伝えることで、送付先や書類の体裁などを柔 軟に調整してくれます。
そのため、弁護士からの連絡を家族が知ることでバレるリスクは、大きく減らすことでができます。
なお、裁判所からの破産手続に関する書類の受けとりは、弁護士が代理人として受け取るため、裁判所からの書類が自宅に直接届くことはありません。
→例えば、破産手続上、保険の解約等財産処分しなければいけない場合でも、解約返礼金相当額を事前に準備し、破産手続上でその金額を納めることで、保険の解約自体を防ぐことは可能です。事前の積立対応がポイントになります。財産処分をしない結果になるため、財産処分によるバレるリスクを減らすことが可能となります。
なお、保証人への連絡の防止や、官報掲載の阻止、共有不動産の処分に関する連絡等、対応の方法がないものも存在します。
つまり、バレずに進めたい人にとって、弁護士は“最も心強い味方”といえます。
自己破産をすると「官報(かんぽう)」という国の公報に氏名・住所が掲載されます。
この掲載は法律上義務付けられているため回避できませんが、実際にバレる可能性は低いのが実情です。
とはいえ、リスクをゼロにはできないため、次のような点に留意しましょう。
過去に短い期間ですが官報をデータベース化して公開したサイトも存在しました。
つまり、「官報掲載=確実にバレる」というわけではなく、過度に心配する必要はありませんが、バレる可能性がゼロではありません。
バレるリスクを抑えるうえで、財産の名義や保証人の有無にも注意が必要です。
自己破産をすると「官報(かんぽう)」という国の公報に氏名・住所が掲載されます。
この掲載は法律上義務付けられているため回避できませんが、実際にバレる可能性は低いのが実情です。
【注意すべきポイント】
このような点にも配慮しながら、手続き前に必ず弁護士と詳細を確認して進めることが、バレずに安全に自己破産を行うための最善策です。
▼バレないための基本的な対策
自己破産はデリケートな問題ですが、正しい知識と専門家のサポートがあれば、リスクを最小限に抑えて進めることができます。
「どうしても家族にバレたくない」「手続きを一人で進めるのは不安」
そんな方こそ、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
自己破産は法律に基づいた正式な手続きであり、専門的な知識や対応が求められます。
特に「バレたくない」「慎重に進めたい」という場合には、弁護士のサポートが非常に有効です。
ここでは、弁護士に相談することで得られる具体的なメリットをご紹介します。
自己破産に慣れた弁護士は、「家族や職場に知られたくない」という悩みに理解があります。
たとえば:
経験豊富な弁護士であれば、よくある「バレるポイント」を把握しているため、事前にリスクを察知して対応策を講じてくれます。
自己破産の流れは複雑に感じるかもしれませんが、弁護士に依頼することでほとんどのやりとりを代理してもらえます。
自分一人で対応していると、思わぬところで家族に気づかれるリスクがありますが、弁護士に任せればそれを未然に防げるのです。
「弁護士に相談するとお金がかかるのでは?」と不安な方も多いと思いますが、自己破産の相談は初回無料という事務所も増えています。
無料相談では:
まずは気軽に問い合わせることから始めましょう。正しい情報を得ることが、最初の一歩になります。四谷の弁護士藤田は金融機関からの借入の債務整理のご相談に限り初回相談無料です。まずはお気軽にご相談ください。
自己破産は、借金を整理して生活を立て直すための有効な手段です。
しかし、「家族や職場に知られてしまうのでは…」という不安から、一歩を踏み出せずにいる方も多くいらっしゃいます。
本記事では、自己破産がバレる主な原因や、バレるリスクを減らすための具体的な対策について解説してきました。
バレないためにできる対策は?
自己破産が「絶対にバレない」とは言い切れませんが、弁護士と連携することでリスクを限りなく小さく抑えることは可能です。
一人で悩まず、まずは信頼できる専門家に相談することが、安心して新たな一歩を踏み出すための第一歩になります。
あなたの人生の再出発を、私が全力でサポートします。
監修:弁護士藤田和馬
四谷タウン総合法律事務所所属 / 保有資格:弁護士(第一東京弁護士会所属)
様々な法律相談に関する相談実績年間200件以上です。
何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください。